神慮の機械さんのデレマス近未来小説に対する感想代わりの三次創作小説

知人でもあるサークル神慮の機械の維如星さんがデレマスif近未来小説「シン・デレマス・オルタネイティヴ エピソード7」のプレビュー版を今回のC90で出されてまして。
何か感想を公の場にさらしておかなければという義務感に駆られたたんですが。
ありきたりな感想より、3次創作しちゃおうかなという気分になりまして。
推敲なし、一発書きで書いた3次創作小説を以下に掲載します。
(あとで誤字ぐらいは直すかも)
あの世界観でかいても佐倉の小説はこうなっちゃうんだな。と、書いてみて思った。
なお、「シン・デレマス・オルタネイティヴ」に出てこない固有名詞は佐倉が勝手に付けたもので、本編に出て来る保証は無いですし、多分出ません。設定とか聞いているわけではないと言うことをご了承ください。

あ、ちなみに「エピソード7」というのはスターウォーズにかけただけなので、今年出たプレビュー版、そしてきっと冬に出る本篇は最初の1話です。とのことでした。

というわけで。

——-
僕がパンプキンキャリッジに着いた時にはもうすでにいつものメンバーはそこで雑談をしていた。

僕は正確には「アイドルの現場」を知らない。華やかだった過去の記憶は先輩ファンの方々から聞いたモノだったし、華やかなステージワークは地下に落ちている動画でしか知らない。
当初この世界に飛び込んだ時、あの華やかな雰囲気とは全くちがう地下な感じに戸惑いはした。
けれど結局僕はこの雰囲気が好きでここにいる。

受付で予約アイドルの名と自分の通り名を告げ、精算する。ドリンクチケットは結局「コーラという名の何が混じっているかよく分からない飲み物」に替えた。
「ちーす」
「ルーク殿、今日は遅かったでござるな」
エルアイういたん推しの集団。といってもいにしえの親衛隊やら選挙対策委員会のような組織的なモノではなくて、単に数人の集団ではある。
けれどリーダーは何処で調べたのか「オタク」スタイルの話法を操る猛者だった。
「いや、野暮用で。でも今日は人が多いっすね」
「入れ替え戦やからな」
まだアイドルは非合法だった頃、関西のライブハウスが一斉手入れに合ったとき、当時の推しの機転で逃げ出し、当局に拘束され引っ立てられていく彼女にアイドルの未来を頼んだよと託されたから、東京までやってきたのだと語る彼。
彼にそう言われて振り向いてみれば、エルアイの他の二人、あいりすとゆうこすの推し以外に、確かに今まで見たことの無いファン達が、異質な雰囲気を漂わせてそこにいた。
通称入れ替え戦、正式名称優先出演権争奪ライブは通常数組のアイドルが、チームが少人数であれば全員で1曲、人数の多いところではメンバーから精鋭を選んで対戦する。
数組の中には既にその箱で優先出演権を持っているチームはもちろん、ほぼ同格で場合によっては権利を奪取できそうなチーム。それからどう考えてもまだまだ実力が足りないチームが入り交じって、概ね4組ぐらいで対戦する。
実力が足りないチームと言っても侮れず、そもそもエルアイ、正式名称Lアイズの所属するチーム、ホワイトストロベリィが優先権を取得したライブは歴史に残ると言われている大金星だった。
ファンもそれぞれの集団で牽制が始まっていて、一見それぞれが雑談をしているように見えて聞き耳立てて他のファンの話を聞いていた。

「何を浮かない顔してるでござるか?」
リーダーが僕らの集団では唯一の女性、通り名「ポン」ちゃんに声を掛ける。
「――ういたん、挨拶に来ないね。いつもだったら『今日はよろしくね』とか言いながら顔を見せてくれるのに、まさか」
そこまで言って彼女は言葉を繋げられなかった。
「今日は大事なライブだから、楽屋で集中しているのでござろう」
そう言っているリーダー自体、口調が暗くなっていく。僕も何か嫌な予感をぬぐい去ることは出来なかった。

客電が落ち、ライブが始まる。
出演順は通常キャリアの短いものから最初に歌っていくことになっている。優先出演権争奪ライブの場合、トリはキャリアに関係なく優先権を持つチームがつとめると決まっていた。
最前はそのユニットの推しに譲るという慣習はあるものの、基本的にはどのユニットも全力で応援するのがファンのたしなみだった。
ましてや、僕らは優先権持ちのファンだから、どのユニットも最高に盛り上がったけど、やっぱりうちが最高。その流れが出来ないのなら後味悪く終わってしまうことは僕らには常識でさえあった。

3組目のユニットが歌い終わって、彼女たちのペンライトカラー、赤緑白の「お寿司」からエルアイの黄色一本持ちに替える。
最前が空いたのを見て、他のメンバーを推す仲間達と最前に移動する。
幕が開いたとき、そこにはチームリーダー、かほほんこと夏帆をセンターに、メンバーでは無い子が二人並んでいた。
「みくにゃんとりーなが……」
オタク話法を使うのも忘れてリーダーが呟く。僕らは事態を悟ってうなだれた。
「いつもホワイトストロベリィを応援してくれてありがとう!今日は大事な優先出演権争奪ライブ。このライブで今回もトリを務めさせて貰えることに、いつも応援して貰えることに感謝します」
夏帆に続いてみくが口を開く。
「大事なライブ。ホワイトストロベリィは、Lアイズのあいりす、ういたん、そしてゆうこすに託して準備してきたんにゃ」
再び夏帆。
「でも三人は、急に留学が決まって、その準備のために今日の舞台には立てないことになりました」
「私たちは絶対にぜーったいに、いつか帰ってくる3人を迎えるこの場所を守っていかなければいけないにゃ」
私たち、ホワイトストロベリィ。彼女はそう言ったけれど、彼女がメンバーでないのは他のアイドルのファンもよく知っている。
みくと李衣菜。この界隈では名を知らぬ者などいない名アンダー。
メンバーでも無いこの二人が優先出演権争奪ライブに呼ばれてそこに立っている。
つまりはそう言う事だ。
彼女たちをファン達が影で呼ぶ二つ名は「おくりびと」
僕達は真実を理解した。
「──そんなわけでLアイズのみんなはお休みだけど、三人にも届くように全力で歌いたいと思います!」
曲前最後の煽り。李衣菜の声が耳を通り抜けていく。僕の隣でポンちゃんが声を出さないように頑張りながら泣いていた。
夏帆がしもて側に下がって李衣菜がセンターに移動する。イントロが流れ曲が始まった。
「みくと李衣菜は赤と青や」
会場が本来のエルアイカラー、黄色に埋まる中、ぼくは指示に従ってペンライトをもう一本灯して、青と赤の2本持ちに替えた。
最前に並んだ他の二人のメンバーのファン達も、2本灯して、もしくは1本持ちのまま、何人かがペンライトの色を変えていた。
曲が1サビにかかる頃、僕は突然の出来事に涙を流すことさえ出来ずに、全力でみくコールをしていた。

END

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