感想: 魔法少女 おりこ☆マギカ

以下、ネタバレ。

まず、これは確かに、おりこ☆マギカだな。
どの辺の試行軸になるのか、というと議論があるけど、佐倉としては10話第4時間軸と本編時間軸の間のような気がした。

おりこって、ほむらとある一点以外はほぼ同じ目的を持ったキャラクターなんだよね。
ワルプルギスの夜を防ぎ、世界を滅亡から救う。

そのために、ほむらはまどかを魔法少女にさせずに乗り切ろうとする。
この時点でまどかにはワルプルギスの夜を倒し、世界を滅ぼす能力があったようだ。
ほむらは第3時間軸以降、まどかを魔法少女にしない事が主目的なので、結果として世界は崩壊を免れる。

ただ、ほむらにとっての「まどか」に相当するものは、おりこにとっては「この世界」

おりこはこの世界を守るため、まどかを亡き者にしようとする。たとえどんな手を使っても。ほむらがどんな手をつかってもまどかを守ったように。

キリカもまた、ほむらの写し身だ。友達がほしい。声をかけたい。今までの自分を変えたい。それは「鹿目さんの役に立つ自分になりたい」と願ったほむらの原点と相似ではなかったか……
そして実際の行動も結局は ほむらのやっていることとそんなに違わないのではないか?(これは劇中に示唆がある)

そして唯一。第二性徴期前に魔法少女になった少女、ゆま。

恒常的に幼児虐待を受け、親が魔女に殺されたが故に佐倉杏子に拾われ、佐倉杏子のために魔法少女になった少女。

ゆまは「おまえはいらない人間だ」と思われることを極度に怖がる。それが故に佐倉杏子の望みとは逆に魔法少女となってしまうわけだが、彼女は意外にも魔法少女の真実を知って心が折れかかっている、巴マミ、佐倉杏子の心を支え、ほむらに旅の終わりを予感させる。

でもね。

魔法少女というものを全く認識していなかったが故に、まどかは自ら危険に近づいていき、そして死ぬ。

ほむらが去ったのこ時空で、そこに残された人々に、何らかの幸せがもたらされることを祈る。
この時空もまた「すべての宇宙、過去と未来のすべての」うちの一つなのだから。

あ、そうだ。
微妙に後味が悪いのは、原作が堕として上げるスタイルなのに、本作は上げて堕とすスタイルだからかな。まあ、まどかが何らの形で死なないとほむらが本編に戻れないから、外伝としてはしょうがない制約ではある。

もう一つ。本編とほぼ同じ事が行われているにもかかわらず、本編がいかに過激にならずにそれを描写することに心を砕いているかが、逆に全く考慮していない本作を見ることによって再認識できたのは収穫。普通に作るとこうなるぐらいの血なまぐさい話だよね、まどかマギカって。

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