魔法少女 まどか☆マギカ 最終考察 その6

これ以降ネタバレ

暁美ほむらについて。
一言で言って忍耐の人、だと思う。ていうか、愚直なほどまじめでそこがとても切ない。
そもそも、多分最初の契約の契機は「もし戦えるのであれば、私も鹿目さんと一緒に戦いたい(=秘密を共有しあう親友になりたい)」じゃなかったのかなあと思うんですよ。でね、多分目のあたりにしたのがまどかの死だったから、ああいう願い方になっただけで、多分作品で省略された部分としては、マミさんとも一緒に戦いたいって思いもあっただろうし、CDドラマを聞く限りさやか、仁美とも良好な関係を築いていけたことが想像できるので、ワルプルギスの夜を回避してみんなを救いたい、っていう思いも強かったんじゃないかと思うのですよ。
で、二週目。彼女はまじめに戦力にいなるべく練習して、三人のチームとしてそれなりにうまくやれたんじゃないかと思うのですよね。この頃はむしろ魔法少女のからくりは、ほむらを含めた誰も知らなかったし、そういう意味では街の治安を守り、来るべきワルプルギスの夜に備えればよかったので、もしかしたら、三人で遊んだり、いろいろ楽しい思い出が多い周回じゃないのかなあと思ったりする。
運命の三周目。ただワルプルギスの夜を倒すだけではなく、余裕を持って魔力を維持しなければいけない=効率よく、魔力消費量を抑えてグリーフシードを入手しなければいけない緊張感。それだけでも精神的に追い込まれた状態であるにもかかわらず、いままでの周回では良好な関係を築いていた人々に信じてもらえない、あまつさえ嫌われてしまうと言うジレンマ。それももしかしたら、緊張感から来る焦燥感がより説得を難しくしていたかもしれないという……ああなんという運命のいたずら(というか虚淵先生の仕掛け)

そして運命の日。
まどかはマミよりも自分を選んだ。
それからの二人はもうひたすらにワルプルギスの夜を倒して生き残ることしか頭になったに違いない。もしかしたら不登校で家出をした状態かもしれない。

でも

倒せなかった。

二人一緒に、(多分魔力消費量を考えて分け合っていたと思われる)グリーフシードがつきて、魔女になって、それでおしまい。

のはずだった。

まどかが隠し持っていたグリーフシードで、魔力を戻し、彼女の願いをすべて聞くまでは……。
一番大切な、そして一番守りたい人が、自分に一番重い枷をはめるというこの悲劇。この瞬間から彼女の戦場は変わった。
他にも守りたい人はたくさんいる。でも全員救えないなら、たとえ鬼になろうとも、一番大切な人だけは救うおう。それがたとえ他の大切な人を踏み台にすることになっても……

彼女は、この時点で正確には「魔女」になっていたのではないだろうか。
感情を捨て、かつての友達、先輩も捨て、ただひたすらに大切な人だけを守る存在……

だから、まどかが「すべての魔女を生まれる前から消し去りたい」という願いによって彼女が解放されたのは、彼女を魔女に変えたあのときに続く、「美樹さやかが犠牲になった」そのときだったのではないだろうか? 少なくともあの歴史ではあの瞬間まで四人仲良くがんばっていたはずだ。 美樹さやかが「おそらく上条恭介のコンサート会場を狙う魔獣と相打ちになって」、円環の理に導かれるその瞬間まで。そして、それはそのあとも変わらないはずだ。ほむらがそれを拒まない限り。

その後に続くシークエンスでの彼女の穏やかな笑顔を見る限り、私は大丈夫だったと信じたい。
あの世界で、唯一魔女から魔法少女に復帰した者、魔法少女の終末理念を知る者。彼女の最初の願い、この世界を守りたい。それが成就されるのを願わざるを得ない。 …… がんばって!

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