そう、「モーモー パラダイス」なのである。 しゃぶしゃぶ食べ放題の店としては、 恐ろしく短絡的かつ安易なネーミングではあるが、 僕にとっては効果的なダメージをあたえていた。 店名を聞く度、思う度に、 國府田マリ子の声が宇宙の果てから聞こえてくるのである。
それはともかく、店に着き、我々は食事を開始した。 我々にしては珍しく、ビールを注文した。 そして、食った。 食った。 食った。(以下 満腹まで繰り返し)
* 悪魔の提案
そう……
それは、誰ともなく提案された。
それは、小さないたずら心だった。
だれも、実行に移されるとは思っていなかった。
だれも、流れを止められなかった。
* 汝、北へ向かえ
我々は、何故か田端のコンビニでホットケーキミックスを購入していた。 そして、「るり基地」を急襲したのだ。
我々はほんの冗談のつもりであった。 そこに十分な装備があることも期待していなかった。 第一、ミックス以外に必要な材料、玉子、ミルク、はちみつ、バター等は、 全く用意していなかったのだ。
しかし、現実は異なっていた。 そこには必要最低限の装備は存在していた。 そして、「るりるりの人」には、ホットケーキ、食べたいデシ
攻撃を食らってしまったのだ。 我々に選択権は残っていたが、選択肢は1つしかなかった。
* 必要は発明の母
なぜか、僕と「るりるりの人」で、不足している材料を購入後、 ホットケーキ作成プロジェクトが発足した。 まずは、ミックス半分と玉子とミルクをボールで攪拌する。 さすがに計量カップはないから目分量である。 混ぜていくうちに、わりと緩い感じがしてきたが、 材料という物は、足せても引けないのだ。 不安になりながら、携帯用ガスコンロの上のフライパンに注ぐ。/P P ファーストロットは見事に失敗した。 水気の多いミックスは広がりすぎて、膨らむ前に固まってしまう。 目玉焼きを丸くするツールを併用して見たが、 小さくはなるが、厚くはならなかった。
セカンドロットは、ミルクを少なめにしたため、わりとうまくいった。 しかし、所詮は携帯用ガスコンロである。 熱が周辺部にうまく伝わらないため、焦げ目が均一につかないのだ。 本来ホットケーキは、 最初に焼いた面のほうが綺麗に焼き色が付くものなのだが、 何故か、裏面の方がましであった。
そして試食後、この食べ物は、伝統に乗っ取り、田端焼き
と命名された。 深夜3時ごろの出来事であった。